2024 年 80 巻 3 号 論文ID: 22-00120
本稿では,地域公共交通の存続が最も危ぶまれる地域の一つである四国地方において実現した異種交通モード間の共同経営に注目し,その歴史的意義とMaaS新時代における交通政策への示唆を論じている.異種交通モード間の共同経営を明記した陸上交通事業調整法の経緯を概観し,香川・徳島で実現した新旧2つの事例との関連性を捉えた.両者は,行政と交通事業者が連携したコーディネーションに基づき,地域の輸送資源を総動員し,交通事業者の経営基盤を強化しつつ,利便性の高いサービス提供を図る点で共通する.この知見に基づき,MaaS新時代において必要となる多様な主体の関係性の基盤を示し,ニューローカルを基本とし,社会的インパクトを志向する交通サービスの統合と一元化の方向を提示した.