2024 年 80 巻 3 号 論文ID: 22-00223
我が国の地方都市では,都市を持続可能とするコンパクトシティ政策が極めて重要となっている.同政策は,都市軸となる鉄道等公共交通の利便性と持続可能性が重要な要件となる.
地域鉄道は,まとまった需要が存在しない立地環境にあって厳しい経営を続けてきたが,人口減少の進行等によって限界が現れ,地域公共交通活性化再生法による公有民営化をはじめ公的支援策による存続が複数なされるようになった.しかし,利便性や持続可能性については課題が見られる状況にある.
本稿では,使いやすいサービスレベルの持続可能な提供,及び近年激甚化,頻発化してきた自然災害,新型感染症等の出現に対する強靭性の観点から,地域鉄道における既往の上下分離施策等を評価するとともに,対応性を有しうる官民で役割を分担する上下分離の考え方と姿を論じる.