2025 年 81 巻 1 号 論文ID: 24-00042
本研究では,我が国における広域道路ネットワーク整備が地域経済の成長に及ぼす影響について検証を行う.1971年〜2010年の40年間,全国215の都市雇用圏に含まれる1,241市町村を対象として,広域道路ネットワーク整備による連絡性の改善が製造業の立地や雇用,生産性に及ぼす因果効果を推定する.道路ネットワークの階層性に着目し,都市圏間の連絡性と同一都市圏内における地域間の連絡性という異なる空間スケールのアクセス性指標を用いて,各階層の道路ネットワークがもたらす効果とそれらの相乗的な効果について明らかにする.内生性の問題に対処するために,「戦時下に策定された道路計画ルート」と「投資選択とは無関係な(inconsequential)ルート」から操作変数を算定し,2段階最小二乗法による推定を行う.