2025 年 81 巻 1 号 論文ID: 24-00007
滋賀県犬上郡豊郷町にある龍ケ池揚水機場は,「石積造水源井」の構造をもつ現役の農業用地下水揚水機場である.本研究では,実測調査をもとに龍ケ池揚水機場の現存施設の状態を把握し,文献資料調査結果と合わせて,竣工後の井戸の改修履歴を明らかにした.その結果,水不足や増水,木製部材の劣化などの理由で,現在に至るまで何度も改修されてきたことが確認できたものの,基本的な水利システムや井戸構造は継承されていたことが明らかとなった.特に石垣および木製の第二枠は,建設当初の部材が現在もそのまま使用され,極めて貴重である.オリジナルの施設ではないが,建設当初と同じ技術・材料を用いて建設された木製の増築枠は良い状態で現存している.