2025 年 81 巻 1 号 論文ID: 24-00050
本研究では,下水道ネットワークを対象にレジリエンスの定量評価に基づく被災後の応急復旧計画及び事前防災対策としてのストックマネジメント計画の最適化に向けた基礎検討を行った.下水道ネットワークは流末人孔を根とする有向木でモデル化し,流末人孔での累積流量を機能と捉え,被災後の機能損失と復旧過程を再現してレジリエンスを定量評価した.応急復旧計画の最適化では,混合整数線形計画法(MILP)により被災後に生じる管渠の閉塞を効果的に解消する復旧順序を求めた.ストックマネジメント計画の最適化では,複数年に渡る段階的な管渠の改築を想定し,遺伝的アルゴリズム(GA)でレジリエントな改築順序を探索した.被災の影響をネットワーク全体の機能推移で評価することで,エビデンスに基づく効果的な対策が可能となることを示した.