2025 年 81 巻 1 号 論文ID: 24-00196
バリアフリートイレについて,乳幼児連れ等も含め多様な人が利用しやすいよう,多様な機能を集中させることを推奨してきた結果,利用者が競合する利用集中という課題が指摘され,今日ではバリアフリートイレから一般トイレへの機能分散が推奨されている.本研究では,鉄道駅等の各施設の機能分散の実態を調査し,機能分散が着実に進められていることを明らかにした.また,欧米との比較により,機能分散を推奨する我が国の政策には独自性がある可能性を示した.一方,機能分散の前提となる利用集中という課題は,アンケート調査結果を主として設定されたもので,実態把握が必ずしも十分ではないまま政策が進められてきたことを指摘し,施設の個別性により必ずしも機能分散をせず,多機能トイレによる対応の方が効率的である可能性を示した.