2025 年 81 巻 13 号 論文ID: 24-13492
東北地方太平洋沖地震以降の基準地震動の増大に伴って,原子力発電所の耐震安全性に対して従来の保守的な評価を高度化することが必要となっている.破砕帯による局所的な変形の影響を受けるRC構造物の挙動については未解明な部分も多く,評価手法の構築が求められている.我々は岩盤内に位置する破砕帯と交差する仮想的な実規模トンネル構造物を対象とし,一連の実用的な耐震安全性評価を実施した.破砕帯の応答ずれ量算出のための動的地盤応答解析と,限界ずれ量算出のための静的RC非線形解析をそれぞれ実施した.限界ずれ量の算定においては,最大荷重点を限界状態として評価するとともに,圧縮ひずみや内面段差等の損傷指標でも同等の評価が実施できることを確認した.さらに安全係数を考慮して両者を比較することで,耐震性能照査を行った.