2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16056
土砂洪水災害の被害を拡大させる山地流域からの流出土砂量を予測することは,気候変動による被害の増加を防ぐためにも重要である.本研究では河岸侵食による川幅の拡大と広い粒度分布をもつ山地流域での遮蔽効果を土砂流出モデルSiMHiSに組み込み,山地流域における土砂流出モデルの精度向上を図った.その結果,2016年北海道豪雨時のペケレベツ川上流部からの流出土砂量及び川幅の拡大を再現することができた.さらに,川幅拡大による掃流力の低下を考慮できたことで極端な侵食が抑えられるようになった.また,細粒土砂の遮蔽効果を適切に考慮できたことで極端な堆積が抑えられ,粗粒化を適切に表現できるようになった.