2025 年 81 巻 17 号 論文ID: 25-17217
近年日本海西域で異常潮位を引き起こした2020年台風9号を対象に,その発生要因の解明および台風経路依存性評価を目的として,気象モデルWRF及び高潮モデルGeoClawを用いて異常潮位の再現計算と台風経路を東西に最大48.2km平行移動する台風経路シフト計算を行った.台風経路が東に移動する場合は台風通過後の風向が約10度北側に変化した.各ケースで対馬海峡及び朝鮮東岸沖からコリオリ力による水輸送が確認され,境港および浜田における最大潮位偏差は各々最大±15%,±16%変化し,西に24.6km経路移動したケースが最大となった.山陰北岸,九州北岸ではそれぞれ朝鮮東岸沖,対馬海峡由来の波エネルギーフラックスの台風経路依存性が大きく,その大小が潮位偏差の大小に影響することが示唆された.