2025 年 81 巻 6 号 論文ID: 24-00228
筆者らは,床版防水層のピンホールとブリスタリングの発生メカニズムを解明するため,コンクリート平板上に防水層のピンホールとブリスタリングを再現し,コンクリートの緻密性と水分量に着目した各種実験を行った.その結果,コンクリート表層のごく浅い位置に存在する気泡内の空気が防水材の熱により体積膨張し,その空気が細孔を通じて表面に排出されることでピンホールが生じることを明らかにした.
また,外気温の上昇によりコンクリート内部の水分が外部に逸散する過程でコンクリート表面に移動し,その水分が水蒸気となり体積膨張することでブリスタリングが生じることを明らかにした.これらの現象は,表層が緻密なコンクリートよりも細孔の多いコンクリートで生じやすい傾向にあり,表層を緻密に仕上げることで現象を抑制できる可能性を示した.