2025 年 81 巻 9 号 論文ID: 24-00301
鉄道設備の保守業務省力化は特に地方鉄道における重要な課題であるが,実態に即して検査体制を見直すには至っていない.本研究では,検査周期が短い転てつ機に着目し,主要な検査項目であるロックと密着の検査記録から混合ワイブルハザードモデルを推定し,要調整発生期間を定量化した.さらに,モデルから得た調整発生特性に関する形式知と,アンケートから得た現場技術者の暗黙知との整合性を調査した.その結果,調整がつぎの調整を誘発する調整発生特性が初期不良型の加速パラメータとして形式知化されることを明らかにした.また,異質性パラメータが大きい転てつ機16台のうち10台は,調整が多発するクセを有することが現場で認識されており,形式知の一部が現場技術者の暗黙知と整合することを確認した.