抄録
日本では、海洋保護区は海洋環境政策としては正式に位置づけられてこなかった。日本における海洋保護の方法は、伝統と海外からの導入の双方の考え方を統合化したものと考えられる。2010年に開催された生物多様性条約第10回締約国会議(CBD/COP10)は、日本での海洋保護区の設定推進への引き金であった。島嶼は、観光や漁業の資源である海洋と沿岸の自然に恵まれている。国内的には、離島地域の政策は転換点を迎えている。近年、海洋ゴミの越境的環境汚染が島の沿岸を襲ってきた。これは、島に共通する問題として共有すべき段階に入っている。海洋保護区には、国内的な仕組と国際的な枠組をつなぐ高い潜在力がある。日本の百年にわたる海洋保護の歴史は、優良事例や反省すべき教訓があり、将来的には国際的な事例として経験や予防に役立たせられる可能性がある。海洋・沿岸工学は、空間計測とモニタリングには様々な経験と方法をもっている。海洋保護区管理は、工学の新たな領域と考えられる。