2012 年 68 巻 2 号 p. I_1061-I_1066
人工浅場の地形変化特性を浅場表面の底面流速と浅場表層の間隙水圧に着目して水理実験により検討した.その結果,浅場に地形変化が生じる範囲は入射波波高や入射波周期の増大に伴って広がることを確認した.また,浅場を構成する底質粒子が細粒径の場合には,Shields数と相対鉛直有効応力比の間に負の相関があり,底面流速が岸向きの位相では相対鉛直有効応力比が減少し,逆に底面流速が沖向きの位相では相対鉛直有効応力比が増加することを明らかにし,そのために沖向きの底質移動は底質粒子間の拘束力が弱まることで助長される可能性を示唆した.さらに,そのような条件下では,間隙水圧の影響を考慮した修正Shields数により底質移動をより適切に評価できる可能性を示し,底質移動とそれに伴う地形変化を検討する際における底質表層の間隙水圧の重要性を示した.