抄録
本研究は,消波ブロック被覆堤を対象として,モンテカルロシミュレーションによる消波工のライフサイクルコスト(LCC)の算定において,高波発生回数が及ぼす影響を検討したものである.LCCとして初期建設費と供用期間の補修費を計上し,高波発生回数を年1回とする場合と,波浪観測資料にもとづく統計的特性を考慮して与える場合の2通りの計算を行った.日本沿岸の4地点での高波資料を解析した結果,年間の高波発生回数はポアソン分布で近似できることが示され,LCCの算定においてポアソン乱数で高波発生回数を与えた.結果として,LCCを最小とする消波ブロック径が高波発生回数の与え方によって異なったのは1地点のみであったが,補修費の変動性については差異が生じ,高波発生回数の及ぼす影響を考慮する必要性が示された.