抄録
海岸湧出地下水の特徴を明らかにする目的で,鹿児島県の松ヶ浦海岸潮間帯で水質観測および流量測定を行った.潮間帯から12.6m3/dayの海岸湧出地下水量が確認され,栄養塩供給量として,NO3-N,PO4-P,各々45.7g-N/day,0.5g-P/dayと推定された.松ヶ浦海岸背後地の地下水流出が発生しやすい地質条件と,窒素負荷量が大きい茶畑という土地利用条件によって,高濃度のNO3-N(300μmol/L)と低pH(6.3)を含んだ地下水が海岸に湧出していると考えられた.さらに,海岸湧出地下水の塩分は0.1~2.9‰と淡水地下水量が90%以上を占めており,海水の影響は小さいことがわかった.本研究によって,海岸湧出地下水が沿岸域生態系にとっての重要な栄養塩供給機構である可能性が示唆された.