2014 年 70 巻 2 号 p. I_930-I_935
置換砂層を基礎とする防波堤を対象に,海溝型地震動によって発生する数メートルオーダーの沈下を抑制する工法について,1g場大型模型振動実験にて検討した.沈下抑制の対策工として,既設防波堤を想定し,防波堤直下地盤を改良しない矢板工法および固結工法に加えて,津波越流に対する洗掘対策として適用される腹付工を対象とした.振動実験の結果,いずれの対策工法も沈下を完全に防ぐことは難しいが,加速度振幅が小さく継続時間が長い海溝型地震動を対象とすると,地盤改良しない腹付工であっても地盤の有効上載圧の増加による液状化抵抗の増加により,過剰間隙水圧が上昇する時刻の遅延,過剰間隙水圧が高い状態の継続時間の短縮により,無対策と比べて沈下量を抑制できることが分かった.