2015 年 71 巻 2 号 p. I_155-I_160
桟橋は背後の土留めからの荷重伝達が行われない構造とすることが一般的である.これは桟橋上部工と背後地盤を独立にすることで,桟橋上部工に背後地盤の土圧が伝達されなくなるため,耐震性能上有利となると考えられてきたためである.しかしながら,地盤-構造物の一体解析によって桟橋の地震応答解析を行うと,杭頭ではなく地中部で杭が塑性化する結果となることが多いほか,桟橋上部工と土留めを結合した方が独立とした条件よりも杭に生じる断面力が小さくなるケースがあることが既往の研究でも指摘されている.以上の背景のもと,本研究では,土留めとの境界条件が桟橋の耐震性能に及ぼす影響について検討した.