抄録
深浅測量データおよび空中写真等の解析により,静岡清水海岸における近年のsand bodyの移動実態と,その移動促進策としての養浜の効果について明らかにした.静岡清水海岸では,安倍川からの1.8×105m3/yrの砂礫供給により,sand bodyが漂砂下手側へと確実に広がっている.また,静岡清水海岸では,2007年以降sand bodyの移動促進策として安倍川下流域の河床堆積土砂を用いた養浜が継続的に行われてきたが,これにより清水海岸は堆積傾向となり,養浜の効果が確認された.しかしsand body先端付近の自然海浜は,粒径の細かい礫と砂で構成されているのに対し,養浜盛土付近の海浜は大礫を多く含み,結果的に沿岸方向の土砂移動速度が小さく,これによりsand bodyの移動が抑制された可能性が高いことが分かった.