抄録
製鋼スラグ混合土の脆性的な破壊特性を短繊維により改善し,海面処分場の土質遮水材として適用することを検討した.本研究では,含水比160 %の名古屋港浚渫土,粒径9.5 mm以下の製鋼スラグ,およびポリエステル製短繊維(直径14.8 μm,長さ20±5 mm)により短繊維・製鋼スラグ混合土を製造した.一軸圧縮試験では短繊維・製鋼スラグ混合土はひずみ硬化型の応力-ひずみ関係を示し,短繊維を混合することで固結した製鋼スラグ混合土のクラックの発生を抑制できることを確認した.三軸圧縮・透水試験により軸ひずみを受けた短繊維・製鋼スラグ混合土の遮水性を評価した結果,軸ひずみとともに透水係数は増加し,その増加傾向はせん断時の有効拘束圧に依存することが明らかとなった.例えば,製鋼スラグと短繊維の混合体積比をそれぞれ30 vol%と0.5 vol%として製造した短繊維・製鋼スラグ混合土は,2.2×10-9m/sの初期透水係数を有し,50 kN/m2の有効拘束圧が作用する条件下において17 %の軸ひずみを受けても,1.0×10-8m/s以下の透水係数を維持できることが確認された.