抄録
民間事業者が保有する桟橋は地震対策の対応が遅れがちであるが,港湾法の改正により今後民間施設においても耐震補強工事の必要性が高まると思われる.しかし民間施設の耐震補強工事においては,施設を供用しながら実施できる工法により施工する状況も考えられる.そこで著者らは橋梁等の分野で利用されている制震ダンパーを桟橋に設置する耐震補強工法を考案し,模型振動台実験においてその効果を把握することを本研究の目的とする.
実験結果から,橋梁等と同様に桟橋においても制震ダンパーで適切に地震エネルギーを吸収できることが示され,桟橋上部工の応答変位や杭に発生する断面力を大幅に低減でき,耐震補強工法として非常に有効であることが示された.