2016 年 72 巻 2 号 p. I_658-I_663
広島市中心部を流れる京橋川河岸に堆積した有機泥に起因する環境汚濁を改善するため2013年に約1.5kmに渡って石炭灰造粒物(GCA)が散布された.造粒物層の上層には藻類が繁茂し生態系の改善が進んでいる.石炭灰を主原料とするGCAの主成分はSiO2,CaO等の酸化物である.石炭灰造粒物の特性として非晶質であるがガラス(SiO2-Al2O3系)を主体にSiO2が含有されており,ミネラルであるCa,Siイオンの溶出能力が高い.本研究の目的はGCAから溶出するミネラルと藻類繁茂の関係を明らかすることにある.藻類繁茂のメカニズムを明らかとするため,Siに注目し感潮域干潟でのSiの時間的変化や堆積泥中に含まれるSiやクロロフィル-aを分析し検討した.