2016 年 72 巻 2 号 p. I_748-I_753
衛星搭載型合成開口レーダー(SAR)は,天候に左右されずに数十キロ四方の広範囲に位置する観測対象を一度に観測できる強みを持つ.SAR 画像の干渉解析は,二回の観測の間に生じた地盤高の変動を数センチ単位で計測できる性能を持ち,これまで地殻変動や被災域の検知を目的として研究されてきた.著者らは,陸域観測技術衛星「だいち2号」(ALOS-2)を利用し,SAR干渉解析による災害時の港湾の被害状況を迅速に把握するべく研究を進めている.本稿では,港湾施設を模した消波ブロック列を用い,干渉解析の適用可能性を検討し,標準偏差で約2 cmの精度を得たほか,平成26年台風第11号により被災した兵庫県神戸市の長田港および須磨港の防波堤の被災領域の検出を試みた結果についても報告する.