抄録
カンボジアの海岸線は総延長約500Km程度である.近年では多数の開発計画に対し環境影響評価が義務付けられるようになったが,その為には流動機構および水質環境を把握する必要がある.本研究では,観測情報がないカンボジア南西部の沿岸域で複数年にわたり水深測量や気象観測,水質・水位観測などの現地観測を実施しており,数値実験とあわせて海域の地形情報の作成や,潮汐流や吹送流,波浪などの流動機構および水環境の把握を試みている.その結果,この海域では潮汐流と吹送流が卓越していることがわかった.また,海岸付近での季節風の特性を把握し,潮位推算により潮位を把握可能なことを確認した.この情報を用いて流れの数値シミュレーションを実施し,この海域の流動機構を把握した.