2017 年 73 巻 2 号 p. I_84-I_89
2015年4月18日,館山湾南岸にある見物海岸の刀切神社前面の公園を観察した.この公園は,磯と砂浜の続く場所が埋め立てられて造成されたもので,直立護岸背後の平坦地が公園となっていた.公園の外郭をなす護岸付近を観察したところ,護岸前面に岩礁がある場所では背後地は安定であったが,岩礁と岩礁の間で沖合から護岸前面へと深みが迫る場所では護岸背後への越波が著しく,背後地では吸出しによる陥没も起きていた.本研究では,この理由を調べることを目的とし,地形測量や越波の現地観測を行うとともにVOF法による越波量の計算を行うことにより考察した.