抄録
半乾燥地における地盤の塩害防止策の1つとして,礫層(粗粒土層)とその上に砂層(細粒土層)を重ねた地盤であるキャピラリーバリア(CB)が有効である.しかし,半乾燥地における乾燥砂は,下部礫材の間隙に混入しやすく,層状地盤の層境界面の長期的な安定性の確保が困難である.筆者らは,この課題に対し,礫代替材に扁平な破砕貝殻を用いることで,CB機能(降雨浸透水の遮断・貯留効果)を保持したまま,乾燥砂の下部粗粒材の間隙への混入も同時に防止できる貝殻型CBを見出した.
本研究では,礫代替材として破砕貝殻を用いた貝殻型CBの多機能効果の内,(1)塩分上昇遮断効果と(2)破砕貝殻から溶出したカルシウムが植物の発芽・生育に及ぼす影響について実験的に明らかにした.