抄録
2000年の改正SOLAS条約により,一定規模以上の船舶へのAIS(船舶自動識別装置)の搭載が義務付けられ,従来よりも効率的に周辺海域の動静把握が可能となることで航行の安全性向上が期待されているが,AISデータには有益な情報が含まれているにもかかわらず,十分に活用されている状況にない.
本研究では,海上施工現場における安全確保の観点から,既往の輻輳度分析手法における課題を抽出した上で,時間的・空間的に膨大なAISデータを処理して理解されやすい分析結果を提示できるメッシュデータ手法を提案した.また,北九州空港東側に計画される新門司沖土砂処分場事業(II期)の工事を対象に本手法で分析して,船舶の輻輳度や台風等の荒天時の動静が把握できたことから,浚渫土の運搬や作業船舶の曳航等の計画立案の際,より安全な海域,経路の選定に本手法が有効であることを示した.