抄録
漁港施設を適切に維持管理していくために,機能診断の簡易化や効率化を進める必要がある.特に,施設の大半が水中部に位置する防波堤等は,その大部分が水面下にあり,部材の状況を陸上から簡易に視認することが難しく,点検の際に潜水等によってコスト増大や危険性への直面を余儀なくされている.本研究では,地盤上に漁港施設を模した模型を用い,鉛直と水平方向振動(ロッキング振動)の理論値,実測値を比較し,固有振動数による漁港施設不可視部(基礎部)の評価方法を検討した.その結果,室内試験で理論値と実測値がほぼ同等となり,基礎接地面が減少する場合,固有振動数が減少した.また,この結果を現地にも適用し,理論値と同程度の固有振動数が得られる可能性があることを確認した.