2018 年 74 巻 2 号 p. I_270-I_275
これまでに,チュニジア国のイシュケウル湖を対象とした試験結果から,原位置微生物由来の酵素と天然由来の固化試薬を用いた表層固化から表層堆積物の再懸濁抑制効果が明らかとなっている.本研究では,この技術の適用範囲拡大を目的に,酵素そのものを用いることで施工期間の短縮効果を期待することとした.対象として国内表層堆積物を選定し,提案技術の有効性検証を目的として短期・長期で固化効果を得ることを目的とした2種類の室内試験を実施した.試験の結果より,国内表層堆積物と酵素製剤を用いた場合においても濁度抑制効果が期待できることが明らかとなった.また,底泥表層に析出したカルサイトの膜厚と強度に正の相関があることと,X線CT撮影の結果から析出したカルサイト膜と底泥の間に隙間が生成されることなどが明らかとなった.