抄録
大型浮体上に居住目的の高層タワーを備えた構造体について,東京湾を想定立地とした施設計画に基づき,構造安全性と居住性の観点から強風・波浪中の応答特性を水理模型実験と数値解析により検討した.特に本研究ではタワー部分の弾性挙動の効果を考慮し,浮体動揺や係留力,タワー基部での応力などの応答特性に与える影響について検討した.結果として,東京湾における再現期間200年の強風・波浪に対しては,係留力は係留設備の設計目標値を満たすことを確認したものの,タワー頂部の水平変位は浮体構造物の剛体的な回転運動とタワーの弾性応答により大きく増幅した.水理模型実験では,本研究で用いた数値解析では考慮していない浮体部分とタワー部分との連成による共振応答が確認され,特にタワー頂部の動揺応答とタワー基部の応力にその影響が顕著に認められた.