2019 年 75 巻 2 号 p. I_755-I_760
防波堤の津波に対する粘り強い構造を定量的に把握し,設計に取り込むことが重要な課題である.これを実現するためには,まず,防波堤の津波作用時の倒壊に至るまでの破壊メカニズムを明確にする必要がある.筆者らは既往の研究により,粘り強い構造を定量的に評価する上では,防波堤直下地盤の支持力の降伏曲面に着目することが重要であることを指摘している.本研究では,FEM解析(解析コード:GeoFem)を用いて,防波堤直下の支持力の降伏曲面と防波堤の支持力破壊時の作用荷重との関係の把握を行った.この結果,材料密度や地盤の力学物性はよく用いられるような代表物性値を用いた検討の範囲ではあるが,支持力の降伏曲面により防波堤の支持力破壊の作用荷重を把握できる可能性が示された.津波作用時の複雑かつ多様な荷重条件に応じて破壊形態が変化するが,支持力の降伏曲面の概念を導入することにより,防波堤の支持力破壊を定量的に予測できる可能性が有ることを示した.