2019 年 75 巻 2 号 p. I_97-I_102
港湾施設の中で建設後 50 年を経過するものが増加するなか,水中部の点検を実施する潜水士の数は年々減少傾向にある.今後,定常的に発生する港湾施設の点検に対し,潜水士による点検の代替手法として広域かつ短時間に水中部を計測可能な技術を確立することが必要不可欠である.リアルタイム水中ソナーを用いた港湾施設の点検診断手法やガイドラインに定められた点検項目の中で代替可能な項目について確認してきた.本稿では,リアルタイム水中ソナーの取得データを過去のデータと比較する機構を構築し,ガイドラインに定められた点検項目への適応性や,点検にかかる時間の効率化の可能性を検討する.また,既往の研究において点検項目に対する適応性が低く運用が困難と判断したものに対し,水中部の点群データを用いた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の港湾維持管理への利用可能性について報告する.