2020 年 76 巻 1 号 p. 46-56
海水中における鋼材のミクロセル腐食は,環境に含まれる溶存酸素の拡散限界電流密度が支配的に影響し,その腐食速度が決まる.砂や石積みなどの障壁物に覆われた場合も同様であり,本研究ではこの拡散限界電流密度を障壁物の粒径,厚み,溶存酸素の拡散係数および濃度の4パラメータから推定可能とした.さらに,実環境下の鋼構造物を想定した場合は,ミクロセル腐食に加え,障壁部を境に形成するマクロセル腐食を考慮する必要がある.防食範囲を考える上では両腐食速度の合算値を評価し,適用範囲を定めるべきである.そのため,ミクロセル腐食については前述した推定手法を用い,マクロセル腐食については有限要素解析(FEM)を用いて,両腐食に起因する電流密度の収支から防食適用範囲について考察を加えた.