2020 年 76 巻 2 号 p. I_115-I_120
港湾外郭施設の耐波設計において従前から活用されている模型実験に代わり,数値計算が適用される事例が出てきている.それらの数値計算の精度と計算時間およびコストについて,模型実験との比較を行い,耐波設計における模型実験から数値計算への移行の検討を行った.浅水変形や砕波変形などの波浪変形と長周期波の反射波については,現時点で数値計算への移行が可能である.波圧,越波,伝達波については数値計算の実施が可能であるが,設計実務への適用にあたっては精度検証の必要があるとともに,計算速度の向上が望まれる.ケーソンの滑動や消波ブロックの移動など物体の移動を伴う現象についての数値計算は,技術的課題と計算時間の観点から,現時点では設計実務への適用が難しい.