2020 年 76 巻 2 号 p. I_31-I_36
我が国の自動車産業は日本経済を支える重要な基幹産業としての地位を占めている.近年,自動車業界の競争激化により,自動車製造のさらなる効率化が求められており,自動車メーカー間の経営統合や工場の集約・移転が進展している.
本研究では,自動車組立工場の生産台数変化やモーダルシフト進展による自動車部品の海上物流の変化を把握し,想定される自動車業界の将来動向や物流の変化を踏まえた海上物流の将来について考察したものである.その結果,自動車部品の入荷は,コンテナ輸入が顕著に増えており,地域によっては内貿ユニットや鉄道が増加していることが判った.加えて,さらなる海上輸送の活用に向けて,コンテナターミナルやアクセス道路の混雑緩和や内貿ユニット輸送におけるインバランス緩和といった方向性を考察した.