2020 年 76 巻 2 号 p. I_822-I_827
海草による炭素貯留の効果が明らかになりつつある.アマモは平均干潮面(L.W.L.)以深に分布するため,透明度の低い大都市沿岸部や運河部では生育が困難である.そこで,干出する潮間帯にも分布可能なコアマモの群落造成を試みた.水質が良好ではない京浜運河でもL.W.L.と平均水面(M.W.L.)の中間付近の,L.W.L.+0.4mでコアマモが生育および生殖が可能なことが明らかになった.コアマモ生育可否と地盤や底質や堆積状況を比較した結果,船舶航跡波が作用した場合,コアマモ移植場所相当水深でシールズ数Ψ<0.3がコアマモ生育可能で,波浪と底質の関係がコアマモの分布を左右することが示唆された.