2021 年 77 巻 2 号 p. I_379-I_384
羽田空港D滑走路では,2010年10月の供用開始から5か月後の2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生し強震記録が得られた.この観測記録を用いてD滑走路の地震時挙動の把握と耐震設計の妥当性の検証を行った.埋立/桟橋接続部の設計に用いたFLIPのモデルに,3.11地震で観測された工学的基盤の加速度波形を入力して再現解析を行った.その結果,埋立部と桟橋部のFLIPによる応答波形は観測値とよく一致していた.一方,接続部護岸に関してはFLIPの解析結果が観測値を上回っており,FLIPを用いた設計が安全側の評価になっていたことを確認した.3.11地震後のD滑走路では航空機の運航に支障のある変状は発生せず,L1地震時の要求性能をほぼ満足していたことが示された.