土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
ISSN-L : 2185-4653
地震工学論文集第31巻
短周期成分が卓越する地震動のダムに及ぼす影響
岩下 友也原 基樹吉永 寿幸山口 嘉一
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2010 年 66 巻 1 号 p. 115-134

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抄録
近年,地震観測網が高密度に配備され,震源近傍の地震動が観測されるようになってきた.震源近傍の地震記録では短周期成分が卓越した地震動も観測されている.本論文では,短周期成分がダムの耐震性能に与える影響を検討した.重力式コンクリートダム及びロックフィルダムについて,ダム規模やダム形状を変化させた二次元FEMモデルを用いた動的解析を実施した.0.1sec以下程度の短周期成分の有無を変化させた模擬地震動や実測地震動を入力した解析結果を比較した.重力式コンクリートダムでは,堤体の1次固有周期が,短周期領域になるような堤高の低い40m以下程度のダムでは堤体の堤踵部や下流面付近の引張応力に若干の違いが生じるが,その大きさは総じて小さく,大規模な引張クラックなどは発生しない.堤高50m程度以上のダムの場合は,発生引張応力やクラックに対する地震動の短周期成分の影響は,ダム堤体の高標高部に限られる.ロックフィルダムの場合は,固有周期は重力式コンクリートダムのそれより大きく,入力地震動の短周期成分がフィルダムの応答やすべり変形量に大きく影響を与えることはない.
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© 2010 公益社団法人 土木学会
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