抄録
2008年岩手・宮城内陸地震の震源域では,斜面崩壊などの大規模な地盤被害が多発した.その被災機構の分析等のため,被災地点等での地震動を推定することは非常に重要である.そのために利用可能な手法は複数存在しているが,推定手法の違いによる地震動の推定精度の違いについては,これまでほとんど検討が行われていない.そこで本研究では,強震記録が得られている地点での地震動を複数の方法を用いて推定することで,推定手法の精度について定量的な評価を行った.その結果,常時微動計測や中小地震観測を実施することで地震動の推定精度が大幅に向上すること,大地震後に被災地点等において常時微動計測や中小地震観測を実施する意義は大きいことを示した.