2013 年 69 巻 4 号 p. I_734-I_741
東北地方太平洋沖地震による被害は,津波や液状化による被害が顕著であったが,震源断層が巨大であったために広域で強震動が観測され,地震動による被害も少なからず発生した.本研究では,東北地方太平洋沖地震の宮城県北西部を対象にして,水道管路被害のデータベースを構築し,中山間地域を主とする水道管路の被害傾向を把握した.分析の結果,中山間地域に多く敷設されている小口径塩化ビニル管の脆弱性を定量化することができた.さらに,塩化ビニル管については,既往の知見よりも被害が少なくなる結果が示された.また,地震動との関係では,管路敷設密度が低いと管路被害率のばらつきが大きく,一方,狭い範囲で地盤条件が異なる場合は適切な被害率を得られないことがわかった.