抄録
東日本大震災以降,津波による人的被害を軽減するための対策の1つとして避難訓練の重要性が認識されている.これまで多くの既往研究から避難訓練の有効性が示されており,いかにその効果を高めていくかが今後の重要な課題である.このためには避難訓練結果のフィードバックが重要となる.これを実現するため,本研究では従来避難訓練で採用されてきた避難行動の観測手法の課題を整理し,それに対応したWi-Fiパケットセンサを用いた新たな観測手法を提案するとともに,提案手法を実際の避難訓練に適用し,避難速度・避難経路・地点ごとの通過人数などを基礎情報として得ることができることを確認した.さらに,これら基礎情報を活用すると,避難開始・完了タイミング,避難必要時間,避難余裕時間が分析可能であることが示された.