2020 年 76 巻 2 号 p. 343-355
鋼桁橋の橋軸直角方向変位を制限するサイドブロックや下沓突起部材等の支承変位固定部材を対象に,固定部材の塑性変形が橋の動的挙動に及ぼす影響についてFEM静的解析および地震応答解析より検討した.レベル2地震動に対し弾性域を超えない範囲内に留まるように設計される現行設計による基本モデルと降伏耐力を低減させたモデルを用いて,上沓と変位固定部材間のクリアランス差,変位固定部材の降伏耐力,入力地震波をパラメーターとして,これらが,変位固定部材に生じる変形や作用荷重に及ぼす影響を調べた.その結果,固定部材に生じる塑性変形は,クリアランス差や地震波の不確定性などによる影響を緩和でき,設計で想定した状態を超える事態に対し有効となりえることを示した.