2021 年 77 巻 3 号 p. 439-454
大気環境の鋼構造物では,ジンクリッチ塗膜を防食下地とした重防食塗装系が用いられている.しかし,滞水部位や乾湿が繰り返される部位におけるジンクリッチ塗膜の防食特性については不明な点が多い.また,塗膜傷間における鋼素地の電気化学機構については検討されていない.本研究では滞水環境と乾湿繰り返しの環境に着目して,有機系と無機系のジンクリッチ塗膜の傷部鋼素地に対する防食特性を電気化学的に解明することを目的とした.そのために,塗膜傷を模したモデル試験体の交流インピーダンスと腐食電流を測定した.これらの結果から,無機系ジンクリッチ塗膜では,傷径が比較的小さい場合には亜鉛末による犠牲陽極作用や化合物による防食作用が生じるが,有機系塗膜については亜鉛末による防食作用が発現しにくいことを示した.