抄録
地震等の災害時には,生存者が発する音による行方不明者の捜索も行われているので,高騒音環境において人の聴覚では知覚できない音を探査する技術を開発すれば,捜索活動を支援することができる.
本論文では,高騒音環境において人の聴覚では知覚できない音を探査するアレー信号処理の実験について述べる.実験ではセミの声がある屋外で発電機の音および発電機の音に対して-20 dB(パワー比で1/100)の大きさの音声を角距離20°でスピーカから同時に発生させた.マイクロホンアレーは全長1.05 m,マイクロホン数15個とし,水平かつ直線上に配置した.マイクロホンアレーの受信信号を分析して音声の方向と距離を算定するとともに聞き取れる音として分離し再生することができた.