2019 年 75 巻 2 号 p. I_185-I_192
地下街での避難においては,避難開始地点が店舗もしくは通路となり,避難先は地上へと通じる連絡階段の地上出入口周辺になる.多様な業種の店舗が集積しているのが地下街の特徴であるが,業種により店舗の店構えや什器類の配置が異なるため,店舗から通路への避難を画一的に捉えるべきではない.地上の出入口周辺においては,駐輪場や各種ポール等が設置されていることが多く,限られた空間への避難となるため,避難者が出入口付近に立止まり後続の人々の避難を阻害する可能性がある.本研究においては,名古屋駅西側に位置する地下街エスカを研究対象として,避難に大きく影響する条件を考慮したシミュレーションを行った.避難先には立止まり禁止エリアや到達目標ラインを設定することにより,円滑な避難を実現できることを明らかにする.