2021 年 77 巻 1 号 p. 26-40
高速道路トンネルの覆工表面は煤や油,汚濁水およびエフロレッセンス等により汚れている場合が多い.この汚れは覆工の表面に存在する変状の把握を困難にしている.さらに,矢板工法で施工されたトンネルは,漏水が生じている場合が多く,漏水の発生箇所には,導水樋を設置する対策が施されている.したがって,導水樋によって覆われた部位の変状の確認は難しくなる.これらの要因は,走行型の画像撮影点検はもとより,近接目視による点検においても,変状把握の正確性に影響する.本論文は覆工表面に生じる変状把握の精度向上を目的として,覆工表面の洗浄手法を検討し,洗浄が変状把握に与える影響を明らかにするとともに,導水樋により覆われた箇所の変状の可視化を目的とした透明型導水樋の設置箇所における変状把握手法について検証したものである.