2009 年 2009 巻 p. 20090008
大型の$n\ imes n$の大きさの非対称行列Aを係数行列に持つ線形方程式Ax=bに対して,BiCG法系統,GMRES法系統など様々な反復法が使われている.本研究では,元のGPBi-CG法の収束不安定性について「残差の分裂(split)」という視点から考察した.次に,前処理なしGPBi-CG法とGPBiCG_AR法の適用範囲の拡大という視点から,複数の前処理を導出したので,その概要を紹介する.さらに,反復1回当りの2つの前処理つき反復法の計算量を理論的に見積もった.最後に,疎行列データベースから行列を選出し,上記の2種類の前処理つきGPBi-CG法とGPBiCG_AR法の収束性に関する数値実験結果を報告する.