抄録
福島第一原子力発電所の廃炉において再臨界リスクに影響与える炭化ホウ素の分布を把握することは重要であるため, 炭化ホウ素制御棒の共晶溶融と溶融移行挙動が注目されている. 近年, 著者らは炭化ホウ素制御棒材料の共晶溶融を実験的に可視化し, 共晶溶融の後も融液が元の位置にとどまることを見出したが, そのメカニズムは明らかになっていなかった. 本研究では, 粒子法の一種であるMPS法に共晶溶融モデルを追加して可視化実験を解析した. これにより, 実験で観察された融液の停滞が, ホウ素の拡散による等温凝固に起因する可能性が示された.