親子ともにアスペルガー症候群であるパターンの母親に,母子関係作り支援のコンセプトの検討と仮説生成を目的とし,幼少期から今までの人間関係において「嬉しい」と感じたエピソードについて半構造的インタビューを行った.分析枠組みは,構造構成的質的研究法(SCQRM)をメタ研究法とした.
生成された32カテゴリーは14サブカテゴリーへ,さらに4カテゴリーに分類された.そのうちの【されて嬉しいと感じる関わり】カテゴリーには,〈怒らないで優しく話してくれる〉〈よく頭を撫でてくれた〉などが抽出された.【親にしたい関わり】カテゴリーでは〈甘えたい〉であった.良好な母子関係を作っていくためには,アスペルガー症候群の特質理解だけでなく,子どもの関係欲求に応えられるような母親役割ができるよう,子どもの気持ちを汲んだ関わり方を伝えていくなどの支援をすることが重要であると思われる.