抄録
検査や処置を受ける子どもと親の間において、どのようなずれが生じているかを明らかにすることを目的に研究を行った。研究の趣旨を説明し、承諾の得られた2〜10歳の子どもとその親、及びその検査や処置を担当した医師、看護婦17組を対象に、検査・処置の場面の参加観察及び面接法を用いたデータ収集を行った。分析は、子どもと親のずれの意味を捉えるようにした。本研究の結果、検査や処置を受ける子どもと親の間には、1)親が見積もっている子どもの能力と実際の子どもの能力とのずれ、2)子どもが感じる「痛み」と親が捉える「痛み」のずれ、3)子どもの感じている現実と親の現実とのずれ、4)「検査はいや」という子どもと「生命が大事」という親の思い、があることが明らかになった。看護者には、子どもと親との間に生じるずれを念頭に置き、ずれを小さく、もしくはなくすような関わりが求められ、その結果、子どもの持っている力を導き出すような関わりが可能になると思われる。