日本臨床免疫学会会誌
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原著
リウマチ膠原病診療における抗環状シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)の臨床的有用性の検討
下山 久美子小川 法良坂井 知之澤木 俊興河南 崇典唐澤 博美正木 康史田中 真生福島 俊洋廣瀬 優子梅原 久範
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2007 年 30 巻 5 号 p. 408-413

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抄録
  目的:近年,関節リウマチ(rheumatoid arthritis ; RA)の診療において,抗環状シトルリン化ペプチド抗体(anti-cyclic citrullinated peptide antibody:抗CCP抗体)は感度,特異度が高く注目されている.我々は抗CCP抗体のRA診療における有用性について検討した.対象と方法:多発関節痛症例115例(女性89例,男性26例)に関して抗CCP抗体,ESR, CRP, IgM-RF, IgG-RF, RAPA, CARF, MMP-3, C1q-IC, Stage, Class, Joint score, Sharp score, KL-6, SP-D,胸部CTを検討した.結果:抗CCP抗体は,特異度(93.5%)に優れていた.またRA群(45例)において,抗CCP抗体陽性群のSharp score (10.9±22.4)は,抗CCP抗体陰性群(1.7±1.8)と比べて有意に高値であり(P<0.05),関節破壊の指標となる可能性が示唆された.間質性肺炎併発例における抗CCP抗体値(84.5±36.4 U/mL)は間質性肺炎非合併例(52.6±44.7 U/mL)に比べ,有意に高値であった(P<0.05).総括:抗CCP抗体は特異度が高く,骨関節破壊のマーカーとなる可能性がある.特定の臓器障害や病勢との関連性に関しては,今後さらなる検討が必要であると考えられる.
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© 2007 日本臨床免疫学会
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